中期ビートルズとは?
1965年、同じ年に出したシングル曲の
「ヘルプ!」と「恋を抱きしめよう/デイ・トリッパー」(両A面)
を比較してみると・・・
7月の「ヘルプ! 」までは
ポップス調といえるが
それ以降の
ビートルズの曲には変化が出てきている。
つまり
12月の「恋を抱きしめよう / デイ・トリッパー」(両A面)
からは、まったく路線が変わっている。
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という事で、
「赤盤」1962年~1966年
「青盤」1967年~1970年
という分け方が一番はっきりしているのだが、
初期・中期・後期となると
人により味方がずいぶん違っているため、
基準は曖昧。
実に色んな解釈があり
バラバラである。
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ただ、
やはり純粋に
曲作りの視点からみると・・・・
アルバムで言えば・・・
6⃣「ラバーソウル(1965年)」7⃣「リボルバー(1966年)」
8⃣「サージェントペッパーーズロンリーハーツクラブバンド(1967年)」
9⃣「マジカル・ミステリー・ツアー(1967年)」
シングルでは・・
⓫1965年12月3日
「恋を抱きしめよう / デイ・トリッパー(両A面)」
⓬1966年6月10日
「ペイパーバック・ライター / レイン」
⓭1966年8月5日
「イエロー・サブマリン / エリナー・リグビー(両A面)」
⓮1967年2月17日
「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー / ペニー・レイン(両A面)」
⓯11967年10月29日
「愛こそはすべて / ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン」
⓰1667年11月24日
「ハロー・グッドバイ / アイ・アム・ザ・ウォルラス」
この辺りが、中期と考えられるかと思う。
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①.実にシンプル!(⓬)
②.唯一のリンゴスターのリードボーカル(⓭)
③むしろB面曲??(⓭)
④.ジョンの回想?(⓮ )
⑤.ジョンとポール、二人の出会い(⓮)
⑥.歴史的な名曲 ジョンのメッセージとは?(⓯)
⑦.これこそ、なぜ両A面にしなかった?(⓰)
⑧.最後に
①.実にシンプル!
12枚目シングル
ペイパーバック・ライター
この曲、
基本的に3つのコードしか使ってないという事に驚く。
C G A
これだけだ。
コードにSUS4ってやつがついたりはするが、
それでもシンプルだ。
歌詞的には
売れない作家が小説で稼ごうとして出版社に売り込む・・・
かなり変わった発想の歌詞だ。
ポールが作っている。
ラウドスピーカーというものを使って録音。
これはジョンの提案である。
非常にベース音がクリアーになっている。
このB面がレイン
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②.唯一のリンゴスターのリードボーカル
13枚目シングル
アニメ映画の主題歌である。
(ビートルズ主演)
というのは、
契約上の成り行きだったようだが、
イエローサブマリンに乗って
音楽で世界を救うという図は、
子供に分かりやすく
この曲によって
子供もビートルズを口ずさむように
なった。
作曲はポール。
面白いのは、
リードボーカルが
ドラムのリンゴスターなのだ。
リンゴスターが
シングルの中でリードボーカルを務めるのは
最初で最後。
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③むしろB面曲??
イエローサブマリンと両A面になったのが・・・
エリナー・リグビー
身寄りのない老女がモチーフで
Eマイナーの哀しい悲劇的な曲調。
ジョンが作ったが、
ポールが歌っている。
この曲は、
メロディ主体。
ドラムは使われていない。
個人的には、
両A面にわざわざ持ってくるには、
あまりにもマイナー調すぎると感じてしまう。
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④.ジョンの回想?
14枚目シングル
ストロベリー・フィールズ・フォーエバー
レノン作曲
レノンが子供の頃、近所にあった
救世軍の孤児院「ストロベリー・フィールド」
を曲にしている。
この曲、好みが分かれるだろうなと思う。
凝りすぎた感あり?
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⑤.ジョンとポール、二人の出会い
ストロベリー・フィールズ・フォーエバーの
両A面となった
ペニーレイン
明るくポップなのか暗めのバラード調なのか、
どっちなんだろうという印象の
不思議なサウンド。
リードボーカルがポールなのに
ジョンだけが歌っている部分がある。
ジョンが歌うと
曲に憂いが出る・・・。
その影響で
ポップな中に
影があるという、
面白い曲。
ちなみに、ペニーレインというのは
イギリス北部の都市リヴァプールにある通りの事。
ポールが住む場所から
リヴァプールに向かうまでに
通る道だったという。
ジョンのストロベリーフィールズフォーエバー
へのアンサーソングでもある。
そもそも、ポールとジョンの出会いは
リバプールだった。
ポールは軽快な歩調で
ペニーレインへ向かうが・・・
ジョンは、幼いころの哀しい記憶が蘇るのだ・・・
そんな二人が音楽を一緒にして
できあがったのが、
このなんとも言えない
複雑なサウンド。
外部のミュージシャンが加わり
色んな楽器が入っているので
今までと印象も違う。
トランペットソロあり。
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⑥.歴史的な名曲 ジョンのメッセージとは?
15枚目シングル
愛こそはすべて
歴史に残る名曲だろう。
ジョンレノン作。
変拍子が特徴的。
というか、この頃のビートルズは
こういう変拍子が多くみられるようになっている。
イントロは、
フランスの国歌
この頃、
イギリスとフランスは
仲が悪かった。
ジョンレノン、
おそらく・・・・
意味もなくフランス国家を
イントロに入れたりなどしないだろう。
対立しあっている国同士だが、
愛がすべてだというメッセージを
投げかけたかったから
あえて国歌をいれたに違いない。
ジョンのことなので
この国家を
なんとなく軽い気持ちで入れてみたとか
そういう事ではないはずだ。
このB面が
ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン
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⑦.これこそ、なぜ両A面にしなかった?
16枚目シングル
ハローグッドバイ
愛こそすべてに続く、最高の名曲。
すばらしい。
ハローグッドバイのB面が
アイ・アム・ザ・ウォルラス
ジョンレノンの作った曲だ。
ハローグッドバイが素晴らしすぎて
この曲がB面になったらしく
「(ハローグッドバイは)全然たいした曲じゃないよ」
と言ったらしいが、
そう言いたくもなるだろう。
これだけの独創的な曲作りを思えば
単純なひがみとは言えない。
これこそ、両A面でいい。
ジョンレノンの傑作ではないかと思う。
非常に面白い曲。よく考えられている。
実は・・・
バックの一風変わったコーラス。
ビートルズが1966年に日本に来日した際に
ジョンレノンは、
松島の民謡のを聴くことになった。
それをアレンジして取り入れたという
なんとも斬新なアイディアである。
ジョンは、日本に興味があった。
のちにオノヨーコと結婚することになる。
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⑧.最後に
中期では、特に、複雑な曲作りがされるようになっている。
また挑戦的、実験的な曲が多くみられる。
コレとコレを合わせたらどうなるか?
リズムの違う曲をひっつけてまとめてみる?
国籍を超えて融合させる?
とにかく、
色んなものを混ぜては壊し
また違うものを造り上げ・・・
一見単調に見えるものさえも
実はよく練られている。
特に
「愛こそすべて」
「ハローグッドバイ」
は、耳に残るメロディアスな曲で
まさに名曲といえる。
常に変化を恐れずに
進化し続けたビートルズ。
この頃の曲は
コピーしにくいかもしれない。