ビートルズ 初期ジョンレノンの隠れ名曲 アスクミーホワイ
セカンドシングルのB面
アスクミーホワイは、
初期の作品にして
非常に評価が高い。
何がどう素晴らしいのか
そこを掘り下げていく。
ではさっそく・・・
①.これが、アスクミーホワイ
では、B面
アスクミーホワイは・・・
最初に聴いたときは
あまり印象に残らなかった。
おとなしい曲という感じだけで。
たぶんそれまでの
しみ込んでいて
リズミカルでないものは
入ってこなかった・・・
デビューから2曲目シングルの
B面だが、
実は、かなりの名作と言われている。
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この曲・・・
何回が聴いていくと
スルメのように
噛めば噛むほど味が出てくるのだ。
そして
知れば知るほど
よくできた曲だった。
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②.多用したオーギュメントとは・・・
ジョンレノンが作り、
彼がボーカルをしている。
ジョンは、この曲で
オーギュメントと呼ばれるコードを取り入れてみている。
オーギュメントは、増加させるの意味。
ものすごく簡単に
乱暴に説明すると
ドミソという和音(オタマジャクシの団子3兄弟)でいえば
ドミソ#という具合に・・末っ子が背伸びして#がつく(半音上がる)
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ドミソは普通に使われる響き。
でも
ソに#がついて・・・
半音高いものだから
安定感はなく
ふわっとしたような
感じになる。
この曲では
そのオーギュメントが多用されており
不思議サウンドをかもしだしている。
甘く、お洒落感がある。
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過去のロックの影響を受けている
ロックバンド。
ガンガン進む!という
パワフルな
ロックテイストのリズミカルな曲が多い。
この初期の段階で
ロックではなく
このようなぐっと抑えた曲を作っているのだが・・・
これは、なかなかできない事だと思う。
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③.みごとなコード進行と美しすぎるハーモニー
ここに文章を入力。
冒頭の
Iloveyou・・・・・・
and it's ture・・・・・の繰り返しフレーズ。
E→F♯m→G♯m→F♯m→E
シンメトリーになったコード進行は芸術的。
いや、実は、古典的には禁じ手だが。
教科書通りにやるのが音楽じゃないわけで、
耳に入るときにどうなのかを
自分自身で判断して音を作るのが
アーティスト。
この冒頭のフレーズで
ジョンがソロで早口で歌うところと
それに合わせたハーモニーの
美しいことと言ったら!
そして、その間の
一瞬のブレイク。
このつなぎは、
鳥肌がたつほど見事だ。
このハーモニーの魅力。
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④.エンディングの不思議感をひも解く!!
ここに文章を入力。
オーギュメントという
不思議コードは、
半音4つ上げたもの(白黒の鍵盤ひっくるめて)を
規則的に繰り返したもの。
ド ド# レ レ# ミ ファ ファ# ソ ソ# ラ ラ# シ ド
★ 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4
どこまでも延々と同じ繰り返し。
ちょっと珍しいタイプのコードである。
人に例えると
生真面目に職人気質みたいに
周りに流されずに作業を続けて
どこかオーラがある
醸し出す不思議なタイプ?
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この曲のキー(起点になる音)は、
ミである。
上の図はあくまでもドからなので
ミから始めると・・・
ミ ファ ファ# ソ ソ# ラ ラ# シ ド ド# レ レ# ミ・・・
組み合わせにもよるが、
結局、どちらも構成音は、
ド ミ ソ# で同じだったりする。
こういう面白いコードなのだ。
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上記は、半音も全部ダラ~っと並べていて
音楽を作るには邪魔な音もある。
ドラミファソラシドみたいに
黒鍵を無視すると楽なんだけどね。
音楽は、そう甘くない。
ミから始めると、黒鍵が無視できなくなってくる。
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仕方ないので
E(ミ)から始めてやろうではないか!!
どうしても、
シャープ(#)が
ついてくるんだよね~。
①E(ミ)②F#(ファ#)③G#(ソ#)④A(ラ) ⑤B(シ)⑥C#(ド#)⑦D#(レ#)
このまんまで弾くと
これが、
あたかもドレミファソラシドのように聴こえる。
(絶対音感がある方は除外で、
ミはあくまでもミということになるだろうが・・・
普通は、そう聞こえることが多いだろう。)
その並び方は、
ダイアトニックと呼ばれるのだが・・・
①④⑤は主要コードと言われており
それ以外は、マイナーコードになる。
主要音である⑤B(シ)で
終わらせるのが凡人の発想。
無難である。
これをあえて主要音を使わず
代理コードである③を使った。
③G#(ソ#)⇒マイナーコード
で終わる。
⑤.この曲はアートを極めている
この終わり方。
マイナーコードだし
憂いというか
まだ途中というか・・・
言いたいことがあって
喉元まできているけど
曖昧にしている感じ。
人で例えると、
言いたいことを言う、自分ファーストではなくて
雰囲気を作って
クールに収めるちょっと大人のタイプ、みたいな・・・。
この
G#mの見事なエンディングについての
評価は非常に高い。
総合的に見ても、
この曲の構成は非常に素晴らしいということで
クラシックのレナードバーンスタイン氏が絶賛した。
こういうエンディングの仕方は、
最近の凝ったバンドでは遭遇するが・・・
普通はやらないかもしれない。
でも、ところで・・・
なぜ悪いんだ?
という
固定概念のないまっさらな状態、
原始的でピュアなところから
音楽は切り開かれるのだと思う。
ものごとって
いつもきっちりしている方がいいのか
というと・・・
曖昧にしていた方が
全体がまとまることってあると思う。
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これ、初期のビートルズなのだから・・・
彼らは、ダイヤモンドの原石で
ジャンルにとらわれず
演奏だけでなく
ハーモニーを交えた
トータル的な音楽のスペシャリストであることを
照明したような曲だ。
この曲は、
1962年10月5日のデビューからわずか半年後の
1963年3月22日にリリースされた。
ジョンレノン
(1940年10月9日生まれ) 22歳
この若さで、
このような曲を作ってしまった。
しかし、
ジョンは、その後も
バラード調のものを作り出そうとするが
これだ!という音に出会うのに
とても苦労している。
気持ちを音だけで表そうとするのは、
本当に難しい。
そこに
ちょうど当てはまる言葉があると
伝えやすくなるが、
言葉にした時点で、もう
ニュアンスが微妙に違う。
これぞ!!という
ど真ん中にくる音楽を作り出そうとすること。
これがアートなんだろう。
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